あなたがその洋服を纏うことで。
ふと、鏡を見た時の着姿にハッとする。
自らの中に、美しいラインを見てとる。
動きと沿うようにしなり、ゆらめく生地にときめく。
こうした楽しみは、ふだんから着るものにこそあるといい。
カジュアルでも、どこかに醸し出されるエレガント。
暮らしの延長線上に潜む、愛おしくなるシルエット。
それらをどうやって生み出せるのかを
日々飽きることなく、ずっと考えている。
依頼を受けると、何気ない会話からスタートする。
語りかけるように軸となるものを探し出し、
さまざまななことを感じながら、イメージを重ねていく。
素晴らしい生地との出会いから伝わる風景を、
パターンになじませていく。
あたかも彫刻家のように削って削って、削り取って、
最後に残った形からバランスを整える。
自分のソースを通すことで、
あなたらしさのあるシルエットが姿を現わす。
そのまま、ありのまま。
美しさの中にある本質、究極のシンプルを求めていくと、
大事にしたいものが、おのずと浮かび上がってくる。
さらに「自分のために作ってくれた」という事実に
大きな喜びを感じ、心が満たされる。
あなたの満たされた心は、私自身にも想い重なる。
喜んでもらえることに、こよなく喜びを感じる。
そして十全に力を発揮することで、
また恩返しをしたいと思うのだ。